この記事は 事務でよく使うExcel関数まとめ|目的から探せる一覧 の1本です。他の関数もまとめて見られます。
「10万円以上で、まだ入金されていないものだけ、先に確認したい」
条件が1つなら IF関数 で足ります。2つ以上を組み合わせた瞬間に、書き方が分からなくなって手作業に戻る。ここでつまずく人がとても多いところです。
この記事で扱う AND(アンド) と OR(オア) は、複数の条件をまとめて1つの判定にする関数です。
- AND … 条件をすべて満たしたときだけ成立(「かつ」)
- OR … 条件のどれか1つでも満たせば成立(「または」)
この記事で使うデータ
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 取引先 | 請求額 | 入金 | 判定 |
| 2 | A社 | 180,000 | 未 | |
| 3 | B社 | 45,000 | 未 | |
| 4 | C社 | 250,000 | 済 | |
| 5 | D社 | 120,000 | 未 | |
| 6 | E社 | 30,000 | 済 |
やりたいのは「請求額が10万円以上、かつ、入金が未」の行に印を付けることです。
ANDの形
- 条件11つ目の条件。「B2>=100000」のように書く
- 条件22つ目の条件。カンマで区切って、いくつでも並べられる
ORも形はまったく同じです。カンマで条件を並べるだけです。
まずANDだけを書いてみる
いきなりIFと組み合わせず、ANDだけを空いているセルに入れてみてください。
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 取引先 | 請求額 | 入金 | 判定 |
| 2 | A社 | 180,000 | 未 | TRUE |
| 3 | B社 | 45,000 | 未 | FALSE |
| 4 | C社 | 250,000 | 済 | FALSE |
| 5 | D社 | 120,000 | 未 | TRUE |
| 6 | E社 | 30,000 | 済 | FALSE |
TRUE(トゥルー)は「当てはまる」、FALSE(フォルス)は「当てはまらない」という意味です。
ORに変えると、結果がこう変わります。
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 取引先 | 請求額 | 入金 | 判定 |
| 2 | A社 | 180,000 | 未 | TRUE |
| 3 | B社 | 45,000 | 未 | TRUE |
| 4 | C社 | 250,000 | 済 | TRUE |
| 5 | D社 | 120,000 | 未 | TRUE |
| 6 | E社 | 30,000 | 済 | FALSE |
ANDとORで迷ったら、口に出して読んでください
「10万円以上 かつ 未入金」→ AND
「10万円以上 または 未入金」→ OR
日本語の「かつ・または」がそのまま関数名に対応します。
絞り込みたいならAND、幅を広げたいならORです。
IFの中に入れて、見やすい表示にする
TRUE / FALSEのままでは資料に使えません。IFの条件の部分に、そのまま入れます。
- AND(...)IFの1つ目の引数(条件)の場所に、まるごと入れる
- "要確認"条件を満たしたときに表示する文字
- ""満たさないときは何も表示しない(空欄にする)
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 取引先 | 請求額 | 入金 | 判定 |
| 2 | A社 | 180,000 | 未 | -要確認- |
| 3 | B社 | 45,000 | 未 | |
| 4 | C社 | 250,000 | 済 | |
| 5 | D社 | 120,000 | 未 | 要確認 |
| 6 | E社 | 30,000 | 済 |
300行あっても、見るべき行が一目で分かります。これがAND・ORを使う一番の目的です。
かっこでつまずかないコツ
ここが最大の関門です。かっこが合わずに「入力した数式に問題があります」と怒られる。
対策は1つだけ。いきなり全部書かず、2段階で書いてください。
- まずANDだけを別のセルに書いて、動くことを確認する
=AND(B2>=100000, C2="未")と入れて、TRUE/FALSEが正しく出るか見ます。 - 動いたら、その式の「=」を取ってコピーする
AND(B2>=100000, C2="未")の部分だけを選んでコピーします。 - IFの条件の場所に貼り付ける
=IF( , "要確認", "")と先に枠を書いておいて、カンマの前に貼り付けます。 - 確認用のセルは消す
最後に、1で使ったセルを消せば完成です。
一度に完成形を書こうとしないでください。分けて書けば、どこが間違っているかがすぐ分かります。
閉じかっこの数は、開いた数と同じです
=IF(AND(B2>=100000, C2="未"), "要確認", "")
開きかっこは IF( と AND( の2つ。だから閉じかっこも2つ必要です。"要確認" の前にある ) が ANDを閉じるかっこ、一番最後の ) が IFを閉じるかっこです。
数式を編集しているとき、かっこは対になる相手と同じ色で表示されます。
色が付いていないかっこがあれば、そこが余っています。
よくあるつまずき
英語のように「AND」を真ん中に書いてしまう
=IF(B2>=100000 AND C2="未", "要確認", "")
これはエラーになります。ExcelのANDは、条件を「中に入れる」関数です。
正しくは =IF(AND(B2>=100000, C2="未"), ...)。
必ず AND( で始めて、条件をカンマで並べます。
範囲をまとめて渡してしまう
=AND(B2:B6>=100000)
一見「全部が10万円以上か」を判定しそうですが、思ったとおりには動きません。
ANDとORは、1行分の条件を組み合わせるための関数です。
表全体に対して使うものではありません。
1行に1つ式を書いて、下までコピーする。これが基本の使い方です。
文字の条件にダブルクォートを付け忘れる
=AND(B2>=100000, C2=未)
文字を条件にするときは、必ず "未" のようにダブルクォートで囲みます。
囲まないと、Excelは「未」という名前の付いた範囲を探しに行き、#NAME? が出ます。
数字(100000)には要りません。囲むのは文字だけです。
「10万円以上」は >= です
> だけだと、ちょうど10万円の行が外れます。
- >=100000 … 10万円を含む
- >100000 … 10万円を含まない(100,001円から)
境界のちょうどの金額が1件でもあると、結果がずれます。
どちらのつもりなのか、書く前に決めてください。
ANDとORを組み合わせる
「A社かB社で、かつ未入金」のように、両方を混ぜることもできます。
- OR(A2="A社", A2="B社")「A社 または B社」のまとまり
- AND( , C2="未")そのまとまりと「未入金」の両方を満たすか
「または」のまとまりを、かっこで1つの塊にしてからANDに渡すと考えると整理できます。
3段より深くしないでください
技術的にはいくらでも入れ子にできますが、後から読めなくなります。
自分でも1か月後には分かりません。
深くなりそうなら、作業列を1列足して2段階に分けるほうが確実です。
「条件1の判定」を隣の列で出しておいて、その列を使って最終判定をする。
式は短くなり、どこで間違えたかもすぐ分かります。
条件付き書式でも同じ式が使えます
文字で印を付けるかわりに、行そのものに色を付けることもできます。
- 色を付けたい範囲を選ぶ
見出しを除いた、データの部分だけです。
- [ホーム] → [条件付き書式] → [新しいルール]
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。
- 同じ式を入れる
=AND($B2>=100000, $C2="未")と入力します。 - 色を決めて OK
条件に合う行に色が付きます。
列名の前に $ を付けるのがポイントです($B2)。付けないと、右の列に進むにつれて参照がずれます。詳しくは 絶対参照($)の使い方 を見てください。
「条件によって表示を3つ以上に分けたい」場合
ANDやORは、答えが「当てはまる/当てはまらない」の2つのときに使います。
「大・中・小」のように結果を3つ以上に分けたいときは、別の関数の出番です。その場合は IFS関数の使い方(近日公開) を見てください。
今日やってみること
- 条件を2つ見ながら手作業でチェックしている表を1つ開く
請求一覧、在庫表、進捗表など。
- その2つの条件を、日本語で口に出す
「金額が大きくて、かつ、まだ済んでいない」のように。「かつ」ならAND、「または」ならORです。
- 空いているセルに
=AND(条件1, 条件2)と入れるまだIFは使いません。TRUE/FALSEが正しく出るかだけ確認します。
- 正しく出たら、IFで包んで「要確認」と表示させる
=IF(AND(...), "要確認", "")の形にします。 - 下までコピーして、印の付いた行だけを見る
表全体を目で追う作業がなくなります。
目で2列を見比べる作業は、そのままミスの発生源です。条件を式にしてしまえば、行が増えても見落としません。
次に読むとよい記事
- 条件によって表示を変える基本 → IF関数の使い方
- 条件に合う件数を数える → COUNTIFS関数の使い方
- 条件に合う行だけを合計する → SUMIFS関数の使い方
- 条件付き書式で使う
$の意味 → 絶対参照($)の使い方 - 関数の一覧から探す → 事務でよく使うExcel関数まとめ
「毎月、2つ3つの条件を見比べながら、目で確認している」という作業は、式1つでなくなります。確認のための確認作業が積み重なっている職場は多いので、一度まとめて洗い出す価値があります。現状のヒアリングと課題整理は無料です。
この記事について
SUPRAXは、林業・製造・運送の現場経験をもとに、中小企業の業務改善・AI活用・GISの支援を行っています。 記事の内容について「うちの場合はどうか」を聞きたい方は、無料相談をご利用ください。
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